怪談、神社

神社はもともと清浄な土地に神様をお奉りする場合と、
その土地そのものや他の何かを鎮める為にお奉りする場合が
ある。
そもそも神社の起源は、
磐座(いわくら)や神の住む場所である
禁足地(俗に神体山)などで行われた祭事の際に
臨時に建てた神籬(ひもろぎ)などの祭壇であり、
元々は常設のものではなかった。
神は常に同じ常世にいるのではなく、
あちらこちらを流転していた。
そこで現在、鳥居を挟んで常世と現世の境を設けて、
ご神木や神殿が備えられ、そこに神を置いている。
それは神を奉るためか、縛るためなのか…。
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幼少の頃、僕はよく神社の境内で遊んでいた。
祖母にはよく「神様の眠りを妨げるのはけしからん」などと
怒られていたものだけど、神社は広く、鎮守の森には池や虫が取れるし、
その神聖な雰囲気はなにか秘密がありそうで、
ちょっとした冒険気分を味わえた。
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そんなある日、友人がこんなことを言い出した。
「知ってるか。霊感があるやつが神社の木の葉で瞼をこすると、
眼には見えないものが見えるようになるんだぜ」
それはなんだかすごいことのようで、
もしかしたら神様と会えるんじゃないかとか、
なにか願い事が叶えてもらえるかもと僕達は騒いだ。
それで僕達は効果がありそうな榊の御神木の樹によじ登って、
木の枝に腰掛けるとその方法を試してみた。
「なにもみえないよ〜」と友人達が口々に言う中、
「・・・取り囲まれてる」と彼は言った。