物理的距離

想像を絶するほどに、物理的距離は物事を左右するらしい。
いままで軽視してきたし、関係がないとは思ってきたけど、
二回も似たようなことがあると(それが全てではないにしても)
やはり、距離の断絶の威力を感じざるを得ない。
心理学における距離と関係性の影響に関する研究を何度となく読んで、
知っていたけれど嘘くさいなーと思っていたのに。
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それは親しい間柄ほど、二人の距離が短くなるということ。
自分の持つ領域にどれだけ招き入れられるかが親密の度合いを表す。
その逆も然りで、行為が心情を左右することもある。
あまり親しくない間柄の人でも、ボディタッチを使用することにより、
急激に親しいと錯覚することが可能であるという。
まあ、もっともそれが錯覚なのかどうかは別として、
「近しい間柄」という表現はなかなか的を得ていると思う。
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例えば、入学式で名簿順で、身長で、あるいは席が隣で、
一番最初に知り合った人がそのまま友人になるケースが多い。
これも単純に物理的距離が近いのと、
何度も顔を合わすことから親近効果が働いた結果と言える。
ある実験で入学間もない学生の親しい友人と距離の関係を計測したものがある。
その結果、家が近い、席が近い、クラスが同じ、部活が同じと
距離が近ければ近いほどに親しい間柄の友人が集まり、
距離が遠のけば疎遠になるという傾向が現れた。
ここまでは想像通り。
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実験はこれで終わらず、半年後に再計測したところ
結果は、距離と親しさに関係がない結果が現れた。
分析された結果・・・
最初のなにも情報がないために物理的に近い人との接触が多く見られるが、
ある程度、経験と知識が蓄積されると自分と性格や趣味が合う、
精神的距離が近い間柄の人と親しくなるというものだった。
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この実験結果はコストを考えに入れてみるとわかりやすくなる。
費用対効果、すなわち近い席に座った奴のほうが誰かを探し回るより、
コストが安い、楽だということ。で、ある程度、全体の状況がつかめたら、
費用に対して効果が高い(この場合の効果は色々あるけど)
人と優先的に付き合うようになる。
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・・・作られた距離で親しくなるのは限界があるということだろう。
親しいから近しくなると、やっぱりまあこんなものだろう。
それでも、その逆。例えばどんなに親しくても距離が開けば疎遠になる。
それは単にその人に対する情報が失われていくのだろう。
共通の話題や情報が失われ、話が合わなくて、関係を維持するのにコストが掛かる。
メリットよりもデメリットのほうが増えれば・・・ね。
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でも、そんなことで納得が出来るか!
理屈で説明をつけたところで、何の解決にもならない。
こんな実験をした心理学者もきっと遠距離で苦労したのだろう。
そんなことを考えているくらいなら、好きな人の下へいってやれよ。
キミとボクとの間柄にこんな理屈はまかり通らない。
説明できたところで、それがなんだというんだ?
よろしい、疎遠になったのならそれを修復にはどうすればいいのか。
それが問題だ。