夢を見た。

「お前が殺せば、残されたものが殺すだろう。
殺し合いの連鎖を絶とうと自ら命を断てば、
後を追うものがいるだろう。それは生命の螺旋。
永遠に尽きることの無い運命。それでもお前は殺すのか?」

殺し合いの螺旋の中で、戦場の森を駆け巡る。
どこまで行ったろう、なんの音もしなくなった沼地で、
ふと振り返ると二本のひまわり。
左手には朽ち枯れた、右手には青々としたそれらの頂に
太陽が燦々と輝く。
「左手に死を、右手に生を。奪いあいの果てに
このどちらかの道しか残されないのならば、
叶わくば一滴の奇跡を。一雫の安らぎを。
頂に輝く恵みのように、与えることの素晴らしさを。
光あれ、光あれ、光あれ。」
頭上に輝く太陽は輝きを増し、世界を白く染め上げる。

気がつけば夜。手のひらに一雫の結晶が握られている。
朝露のようなそれは生命の欠片だという直感とともに、
それを使うとき、同時に自らの命を与えることだと知った。
「無から有を作ることはもう叶わない。
生きるものから新たな命を与えないかぎり。」

生命を与えることで、世界は殺し合いの螺旋から抜け出せる。
生命の渦の中で、自らの存在は永遠に受け継がれる。
そう気がついて目が醒めた。驚いたことに、僕は泣いていた。
疲れているのだろうか?