「…闇雲に撃ちまくった愛の言葉も、いまではどこにもかすりもせずに♪」
「相変わらず、引きずってるのか?」
「違うよ。ふとしたきっかけに思い出すだけだよ」
「それを引きずってるって言うんだろ」
「かもね。僕は名前をつけて保存をする人だから。上書きで消去できないのさ」
「このファイルは使用中のため削除できませんってか」
「いいね、その表現。僕は何一つ、捨てたくないのさ」
「自棄になってんじゃねーの?」
「僕が?残念ながら、あの頃の気持ちを僕はもう思い出せないよ」
「きっかけが無いからだろ」
「それを言われると痛いね。でも仮に会ったとき浮かぶのは懐かしさだと思う」
「かね?」
「だろ。わからんけど」
「まあ、そうそう割り切れるものでもねーしな」
「たしかし。割り切る必要もないし、それがいえるほど人の心は単純じゃない」
「パソコンとは違うってか」
「そだね。データはいつの間にか失われるものさ。保存も消去も無意識なものでね」
「いつか誰かまた求めるはず、愛されるはず…♪」
「だけど、私の誕生日だけは、独り、あの丘で泣いて、私を想って…♪」
「別に死んでねーけどな」
「似た様なものさ。二人歩いた道は二つに分かたれて、交差することも無く♪」
「その曲、しらねー」
「いま思いついたw」