情熱

情熱を。
この身体から溢れんばかりの情熱を、この世界を彩るだけの情熱を。
情熱を持たないものたちはただただ日々に流されて朽ちていくだけ。
灰色に染まる視界の中で、ただ唯一眼に焼きつく燃えるような紅い情熱を。
それは怒りでも感動でも、悲しみでも喜びでもいい。
この胸を焦がすほどの感情の昂ぶりを、掻きむしるほどの衝動が欲しい。
情熱を、情熱を。
君の情熱が再び僕の心に明かりを灯すなら、僕はこの命の限りを尽くそう。
もっと強く、もっと紅く、もっと激しく、もっともっとずっと高みへ昇るような、
そんな情熱を。この胸にくすぶり続ける種火を燃やせるならば、
僕は祈り、歌い、鍛え、戦い、踊り、狂おう。
言葉では言い表せないような、身体では表現できないような、心が壊れるような、
そんなモノを望み続けよう。もっと、もっと、もっと、
貪欲に、飢えの様な、そんな感情を抑えられるだけの、
そんな感情を全て燃やし尽くし、灰に変えられるだけの情熱を。
情熱を、情熱を、情熱を。
言い表せぬような情熱を。喉が千切れても届かぬような情熱を。
手足が千切れるほどに踊り狂っても触れれぬほどの情熱を。
狂気に満たされても、なお深淵に渦巻くほどの情熱を。
この、存在の全てかけられるほどに激しい情熱を。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
時々、ひどく感情が高ぶることがある。
波のように寄せては引いていくその感情を僕は表す術を知らなかった。
これはもしかして、情熱なのかもしれないと今日、ふと思った。
もし、この感情を外に表すことが出来たらどんなに素晴らしいだろう?
でも、僕はこの感情を表す術を知らない。持たない。
大きな声で叫んでも、思いつくままに踊っても、きっとこの感情は消えてしまわない。
ぴったりと合うようななにかを見つけるまでは、きっと消えてしまわない。
この感情は空虚なようで、でも溢れかえるようでいて、
何かで満たされたいような、何かで表現したいような、
そんなありとあらゆる感情を混ぜたようなもの。
わかるのはそれは激しい怒りに似ていること。
それは飢えに似ている。満たされない・・・でも、漏れいずる。
きっと色は紅い。そしてとても熱い。そんな名前もない情熱。