散る桜

咲く花よりも散る花弁に眼を奪われる。
風に吹かれて、はらはらと散ってゆくその様に、去りゆく時と、
きたるる未来のにおいを感じる。滅びること、失われること、忘れること、
それらは脆くて、儚くて、だからこそ美しくて、心を奪われる。
道をぼんやり歩けば、桜並木が一面に広がっている。
春がきて、その到来を告げた桜は散って、青々とした葉をつけるだろう。
一瞬の輝きを残して。