eipuriru fu-ru

4月には脳に春がやってくる。
頭の爽やかな人たちが嘘を付いても許されるのがこの日。
さて、そんな日だから僕は嘘の出来事を書いてみようと思う。
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その男には好きな人がいた。
まあ、好きな人といっても、授業で一緒になって、気になる程度のものだったさ。
なんとか仲良くなろうと男は必死で頑張ったさ。持ち前の行動力でな。
一緒にプレゼンしたり、会うたびに話題を振ったり。
相手も気難しい娘でリストカッターだったり、拒食症だったり、ダウナーだったり
男に話しかけられても、なんというか気のない返事をするわけだよ。
「休日は何してるの?」「・・・なにしてるんだろう?なにも・・・」と
まあ、こんな感じかな。
それでも、男が根気強く頑張って話しかけ続けると笑ってくれるようになり、
街で偶然会えば、手を振ってきて駆け寄ったりするようにもなった。
その頃に、男は別の娘から告白をされた。男は混乱したね。
いままで自分が積極的に行動してきたのに、
向こうからアプローチしてきたのは初めてだったからさ。
迷った末、男はその娘と付き合うことになった。
そして、そのことを男は好きな人に伝えることが出来なかった。
付き合うことになった彼女にも「好き?」と聞かれるたびに
自分が嘘を付いてるような気がしたものさ。
男は大学を卒業して、彼女と恋人関係を続ける傍らでその娘ともメールを続けていた。
で、ある日、その娘と新宿で会うことになった。
男はその娘となぜ会うのか?娘はなぜ会ってくれるのか?考えた。
考えた末、彼女と交換した指輪をはずして、その娘と会うことにした。
楽しい時間だったろうさ。食事をしてスターバックスで珈琲を飲んで5時間も話した。
そのとき男は何を考えていたのだろうかね?
これはもしかしたら浮気なんかもしれない、そんな想いを秘めて、
娘とあったことを彼女に話せずにいた。
ずーっとかれは嘘をついていたのかもしれない。
でも、そんないくつかの嘘もつきつづけるとある日、本当になったりもする。
男は結局、彼女を愛するようになった。
そして、愛を伝えたその一ヵ月後、二人は別れた。嘘をついた報いだね。
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別れて半年したころに、男は元彼女とあって、その娘の話をした。
詳しくは話さなかったけど、彼女は少し反応を示していたように見える。
それは驚きだったのか、怒りだったのか、失望だったのか、もう誰も知らない。
「僕が君の事を好きなのは本当なのにね」と、その言葉だけが残った。
今はそれら出来事が遠い昔のことのように思える。
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エイプリルフールは自分の不義理を悔いる日でもある。
まあ、嘘だけどね。