胸が痛む。思い出は陽炎のように姿を失い、いまや痛みだけを残して過ぎ去った。
これは残像、カナシミの残り滓。ひどく昔から蓄積された澱のようなモノ。
生きるほどに圧しかかり、少しずつ、心が重くなる。
痛みに慣れれば、いつかなにも想わなくなるだろうか?
圧は心を縛り、やがてなにかも死んでいくだろう。
若さも、強さも、愛ですらもやがては風にさらわれて消えていく。
生きることは辛い。楽しかったこともやがて失われていく。
最後に残るのは痛みだけ。この痛みもやがて心地よくなるだろうか?