調味料

よく、自分で作りたいラーメンをぼんやりと考える。
そのときにかならず思い浮かぶのはシンガポールで食べた味のこと。
僕の人生の大半を占めるあれは、やはり多大な影響を与えるらしい。
思えば、あそこは多国籍国家で、様々な文化がぶつかり、生まれたのだ。
だから、ありとあらゆる料理が揃っている。特に食材と調味料。
日本ではお目にかかれない食べ物が店には並び、癖のある香が辺りを包む。
特に東南アジアということもあってか、香辛料を使ったペーストが多い。
サンバル醤もそうだし、グリーンチリの酢漬け、馬拉醤や蝦醤もそう。
基本は中華、食材は世界、広がる味覚。その辺りに、ヒントがありそう。
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たまに、ほんとにたまに、自分で出汁をとる。
鶏の皮とガラを煮込んで、一日冷まして表面の油を取り除いて、漉しチキンスープ。
美味しんぼのまねをして作った、昆布とカツオの澄まし汁。
蛤を酒で蒸して取ったスープに、玉葱を時間をかけて飴にしたオニオンスープ。
そういえば一番初めに作った料理は、ホウレン草と卵のスープだった。
塩味だけのスープだったけど、とても美味しいとおもった。
自分で育てたホウレン草を摘んで作ったあれは、それから作っていない。
費用も手間はかかるけど、そのどれもが市販のスープに勝るものだった。
根本的な違いを感じる。それは香と複雑さ、そして命。
食べ物にこんな表現をしていいのかわからないけど、命が溶け込んでいる。
それは鮮度とも言い換えられるのかもしれない。市販のそれには感じられない。
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日本の料理を食べていて思うのは香が足りない。
一般向けに作られているためか、風味が感じられない。
何処かでかいだような、同じような匂いばかり。
味覚と風味は密接しているしている。
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筋道は得た。あとはそれに沿ってゆくだけ。