不協和音

「お前なんか要らない」
噛み合わない歯車のように円は廻る。
揃わない足並み、掛け違えたボタン、すれ違う感情、届かない言葉。
イビツに歪む関係に気付きながらも、それでも筋道を違えてしまう。
一緒にいても解らないもの、声をかけても聞こえない音、
なにもかもが本当の半分も伝わらない。輪から外れてしまったように、
暗闇で孤独になったように、目が醒めたら一緒にいた誰かがいなくなったように、
独りぼっちで不安になる。
誰もいない家、明かりの消えたままの部屋、外側から開くことのない扉。
なにもかもが不協和音となって僕の心を掻き乱す。
この音はなに?耳鳴りに、内から責め立てる声、かつての罵声、誰かにかけた皮肉、
そのどれもが心を抉る。こんなにも汚い、薄汚れた言葉が溢れくる。
雑音ばかりが僕を責める。不協和音ならその音を取り除けばいい。
無音の世界か、それとも世界を音で埋め尽くすか。
どちらにせよ、同じこと。「お前は要らない」ということ。
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「あなたが好きです。でも、それはあなたにはなんら関係がないこと」
そういう葛藤があった。この葛藤にあまり意味はないし、自分を追い詰めるだけ。
心が壊れてしまうか、心が捻じ曲がってしまう。苦しくて、苦しくて、吐き出す。
何億人という人がいて、何億組という恋人がいて、何億という確率で繋がるのだろう。
其の中で好きな人が自分がすきという確率はどのくらいなのだろう?
そして、好きという瞬間は一様で、好き合ってる瞬間はどのくらい短いのかな?
それは奇跡なようで必然な関係。不思議、不思議。
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彼女(元彼女と称すべきだろうか?)からメールが着た。
返事に迷う。また失うのは怖いから。失ったままでいたほうがいいのかな?
とても大切。それは変わらない。でも、どうしたらいいのかわからない。
どうしたいのかもわからない。理性と感情が不協和音を奏でる。
結局、僕はまた迷ってばかり。嬉しいよ。でも・・・だよ。