再会

今日は渋谷で飲み会をした。
場所はよく利用する「大仏ころころ」という和風居酒屋。
店内に大仏の巨像があり、構造も入り組んでいるためよく迷う。
出入り口を見失う人が多数。
今回の飲み会にあたり、前日ばたばたと動き回った。
水曜日に先輩にシフト代わってもらうよう交渉したり、
前日の金曜日は深夜勤務で、当日は朝勤務は内臓に負担をかけるし、
結構な混みようで、上がるまで「今日は延長戦かなぁ・・・」と思ったり、
結局、シャワーを浴びたり、準備ができなかったので、
お金だけを持って渋谷へ向かう。うーん、ハチ公。
ところで土曜日のハチ公前はとてつもなく混む。
待ち合わせの聖地だからか、みんな誰かを探して彷徨っている。
多分、何気なくここで待っていたら、旧友と再会することができるだろう。
ワクモトは元気だろうか?いつだか、ここで待ち合わせをしたよな。
もう、イギリスに行って卒業しただろうか?
電話番号も交換しないで、何年も音沙汰なしで、
いつだか電話が掛かってきて、何事もなく再会した。
またいつか会うことができるだろうか?
君からの電話を待ってるから、番号を変えることもできない。
ここで待っていれば君に会うことができるだろうか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・約束の時間。
みんな渋谷にいるにも拘らず、遭遇していないらしい。
双方から電話が掛かってきて、僕はハブの役割を担ったようだ。
とりあえず、神谷さんをピックアップして、そこから地下鉄へ向かう。
まっていても分かりにくいことに気付き、ハチ公の目前に移動する過程で、
ゆうこ夫妻と遭遇する。そして、ハチ公に登ると渡邊夫妻を発見する。
・・・いつの間にかゆうこ夫妻と神谷さんがはぐれている。
まあ、いいかとまっているうちにみんながそろい、チエが遅れてやってきた。
こうして皆が再会した。
主催者は場所をよく覚えていないようなので、僕が先導する形になる。
しかし、歩くのが早かったのか、しょうこさんと二人っきりになってしまった。
「わたし、携帯もっとらんのよ」
ここで、置いて行ったらさぞかし面白いことになるだろうなと思ったが、
後が怖いのでそのまま目的地へ到着する。やはり、先についてしまったようだ。
暫く待つと全員が揃う。「市来がちゃんとついているとは・・・!」と驚かれた。
それはどういう意味でしょうか?しょうこさんがはぐれないようにでしょうか?
場所に迷わずにということでしょうか?ここを紹介したのは僕ですよ?
気にせずに店に向かう。
正直、ここからのことをあまり覚えていない。
店の中は薄暗かったので寝不足な僕は朦朧とする意識の中、
しょうこさんとメニューを選ぶので精一杯だった。
しかし、相変わらず食べ物の趣味が似ているなぁ、と思った。
神谷さんと向かい合わせの席だったが「ほぼ毎週会っている」ということで、
席交換をした。
しかし、僕の周囲にはIT会社の人間しかおらず、二人の苦労話が展開する。
「ハイテクだがローテクな管理方法が・・・」とか
ヒルズで働いて楽しかったのは最初の一週間だけ」
「わたしは兎なのさ」「大好きなお姉ちゃんを取った敵」とか色々。
みんな苦労しているのだなぁと思いながら生野菜をぽりぽり齧る。
刺身を食っていると、醤油に唇が被れて、喉頭から出血してきた。
相変わらず醤油・・・というか刺身は体質に合わないと思いながら、
山葵を舐めつつ酒を飲む。
「・・・ねむねむ」と数回、眠ってしまった。
珈琲が無性に飲みたくなってきた。相変わらず酒は好きじゃない。
やっぱり、珈琲とか茶とかの嗜好品のほうがあっていると思った。
ところで居酒屋で烏龍茶を頼むのはもったいなくないか?
水でよいだろう?という旨を伝えたら「けち臭い」といわれた。
僕の金銭感覚が狂っているのだろうか?この店の烏龍茶は350円だぞ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とりあえず珈琲党の三人は先に小田急スターバックスに向かう。
スクランブル交差点のスターバックスに行く奴の気がしれない。
サイズ限定な上に座る場所も確保できないしさ。
ここは僕のお気に入りの場所。
渋谷にきたら必ずここにきて、皆で花を咲かす。
特に外のテーブル席か、立ち席が好き。
会話に詰まっても目の前を通り過ぎる人々を眺めるだけで楽しいから。
今日は残念ながら席が埋まっていしまっている。
そういえば、彼女と一緒に何時間も大分のスタバで話をしたっけ。
偶然、会ってさ。そんなことを思い出すとメールをしたくなった。
でも、なんて?なんて送ればいいのさ?送っていいのか凄く迷った。
「そこがあんたのいけんとこやけん。さっさとあいにいったらんか。
でなきゃ諦めな。」しょうこさんに言われた。
「客観的に見たらかなり無理だと思うぞ」神谷さんに言われた。
僕のことをよく知るこの二人だけになんとも言いがたい。
結局、迷った末、メールを送った。なんとはなしに返事はこないと思った。
そしたら返事がきた。嬉しかった。
その後、みなで飲みなおそうと渋谷を彷徨う。
土曜のカラオケは法外な値段だ・・・。しかたなしに、センター街の珈琲店に入る。
中に入ろうとすると彼女から電話が掛かってきた。
驚いた。挙動が可笑しかったのか「市来、なんか変だよ」と誰かが言った。
僕の中でそんなことを気にしている場合ではなくなっていた。
よく声が聞こえるように、外で電話をする。すごい必死だった。
自分の正直な気持ちを伝えた。
久しぶりに聞くその声は僕の知っている声だった。
「久しぶりだね、元気?」で始まって、「会いたい」といって、
随分と長い間話したように思う。
結局、僕は彼女のことが好きなのだ。久しぶりに幸福を感じた。
店に戻って、みなと話すとすぐに終電の時間になってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こうして様々なモノと再会してこの日は終わった。