パトカーに乗ろう!

パトカーに乗りました。
「ああ、やっぱり」「いつか何かやるんじゃないかと・・・」と思った君。
別に未成年略取とか放火とかした訳ではないので。
今日は異常に忙しく、3時45分ぐらいに店をでて、
バイトのS君の来るまで家に送ってもらおうと思っていました。(マイカー修理中)
S君の車がある駐車場に行き、いざ車に乗ろうとすると何か変。
よく見るとサイドミラーが破壊され、ナンバープレートが剥がされ、
ボンネットに疵がつき、ウィングが折られている。
明らかに人為的なもので、すぐに警察に通報。
被害届けを出した次第です。その最中にパトカーに乗りました。
パトカーってトヨタのクラウンなんですね。
自転車ってナショナルの電気自転車なんですね。
普段、よく見る機会がないので色々見させてもらいました。
手錠をかけてもらったり、警棒を触らせてもらったり・・・いいのか?
そのとき、この辺での事故や事件について聞いたところ、
車上荒らしはよくあるが、これは物取りの犯行ではなく陰険で珍しいとのこと。
きっと誰かに恨まれていたのではないか?
恨みで思い出すのは先日の堕胎の話。
ヤンキーの彼氏ではないかと思ったのだが、
この車は近いうちにそのヤンキーの後輩に譲るつもりで相手も知っている。
だからそれはないのではないかとS君。ご近所って凄い・・・。
その流れでこの周辺の事件について聞いてみた。
「いやー、今日は110番通報がたくさんでねー」と
今日、包丁を振り回していた男や放火、裸で道を歩いていたおっさんの話など、
滅多に聞けない話を聞いた。話してる途中にも消防車が走って行ったし、
寒い時期にはやはり放火が多いらしい。寒いのかな?
結局、パトカーで家まで送ってもらえないので、
前回に引き続き、歩いて帰ることになった。
・・・もう、五時ですよ?
体力不足を感じずにはいれないので珈琲とアンパンを買う。
そうしてまた僕は夜闇を彷徨うのであった・・・。
そのうち変質者として通報されるかもしれない。
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こつり、こつりと道を行く。鼻腔の奥をくすぐるのは枯れ草・錆びた鉄・血の臭い。
視界の端に映る人影と、つかず離れずに響く幾つかの足音。
夜道で振り返ってはならぬと伝え聞く物語が、白い吐息の中で命を持って、
静かに息衝く。視界が捉えるは朧気に浮かぶ影の艶姿
口笛で奏でる不協和音、異界の詩は今日も虚無を呼び覚ます。
逆時の峠を下りて見やるは曙の産声。夜闇を赤黒く変色させるそれは光と闇と、
生と死と、現と夢との境界線。線上を歩みて琴線に触れたなら、祝福を祈り、
微睡む世界を謳おう。受難を忘れ、陽溜まりが眠りを遮るまでは。
ふらりふらりとたゆたいながら、朝を迎える街を彷徨う。
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道を歩きながら夜から朝への変化を楽しんでいると、あることに思い至った。
それは人生でもっとも幸福を感じたときのこと。
僕はあまり幸も不幸を感じたことがないのだけど、
彼女と一緒に寝て、起きて、安心して、微睡んで、
一日中布団で過ごしたとき、僕は幸福だったのだと思った。
多分、そこが人生の目的地で、もう何処にも行く必要もないぐらい、
完結していたように思う。いわゆるハッピーエンドだったのかもしれないと思う。
実際には僕のいびきがうるさいと、彼女は別のところで寝ることが多かった。
それでも、腕枕をして右腕にできた青痣を見ては、幸福をかみ締めていた。
もう、すっかり青痣は消えてしまったけれど、
たまに右腕を見やっては、そんなときもあったのだと思い出す。
そんなわけで今日も一人、布団に入って眠る。
外はもうすっかり朝で、新聞配達のバイク音が響いてるなぁ。