蠢く

この胸の中で蠢く想いは一体何なのだろう。
悲しさだろうか、切なさだろうか、もうこれが何なのかも思い出せない。
せわしく過ぎる日々の中に、本当に大切なものだけを置き去りにして、
今日も歩く。昨日よりも今日へ、今日よりも明日へ。
鼓膜に残るのは、舌足らずで甘えた声。
瞼の裏に君が居ることで、どれほど救われただろう。
ふとした瞬間に思い出し、思わず微笑み、そして凍りつく。
それはもう、手に入らないから。
どれほど、これがいつもの気まぐれであったらと願ったことだろう。
変化を嫌悪する僕が、結局、変化に取り残されてしまう。
いつでも変化なんか望んでいないのに、それでも世界は変化する。
今日も歩く。昨日よりも今日へ、今日よりも明日へ。
どんなに僕は幸せだったのだろう。
怒っても傍に居て、泣いても傍に居て、笑っても傍に居て、いつでも傍に居て、
もっとたくさんのものを一緒に経験して、たくさんの約束をして、
でも、それはもう叶わないのでしょうか。
望む世界の欠片を失った。
記憶の断片小説を心の片隅に。
躁と鬱を繰り返しながら、今日も無感動なフリをする。
揺れ動くな心。
感情なんて嫌いだ。
苦しくて、切なくて、でも嬉しさも、幸せも、ここから来る。
だから心を開いてはいけないのに。
踏み込んではいけないのに。
いつか失うから、失ったときに壊れてしまうから。
だから強いフリをして、自信を持ったフリをして、一人で足掻けばいい。
押さえ込まないと溢れてしまう。
だから蠢く。