食べること

食べることは生きること。
生きることは力、生命力。
生命力は生命の源から生まれる。
源から生まれるのは新たな命。
命は与えられたもの、生きる意味。循環。
命はたくさんの動力と燃料からなる。
動力は目的、燃料は対価。
目的を失えば、対価を払わない。
それは生きないこと、食べないこと。
命を失うこと。
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食欲がない。
僕は食べることに飽き、倦んでいる。
生きる目的を失ってしまったのか、
その命を必要としていないのか、
今の僕には必要ないのかもしれない。
ただ機械的にカロリーを押し込んで、
今日も僕は動いている。
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マーサの幸せレシピ」という映画を見た。
拒食症のシェフのもとに、母を失い食べることを拒絶した姪が訪れる。
イタリア人のシェフが二人の下に現れ、
料理を作ること、食べること、ともに笑いながら食卓を囲むことの
大切さを思い出させる。
食事は本当は楽しいもの。誰かと一緒に、生きる幸福を分かち合うもの。
一人で食べる食事は美味しくない。
それがどんなに素晴らしい料理でも。
人は一人では生きられないように。
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また、自分の指を食べるという妄想が生まれ始めた。
生きた人を食べることと、生きたまま食べられることの両方を満たす。
自己愛の表現とでもいうのか、代償行為の表れとするのか。
ふと思う、性欲と食欲は似ている。
身体が交わり、全身を使って愛撫する行為は、愛を味わっているといえる。
事実、僕は初めてのキスが、甘く、美味しいと感じた。
そのときの髄に行き渡る官能と陶酔を未だに思い出す。
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生きることは食べること。
新たな命を生み出すこと。
全ての人間は快楽の産物であるなら、最後に行き着くのは子供を産むこと。
自分の子供を作るまで、生きてみようか。
そう思い、口にしたものが身体の一部になる夢を見る。