終わり

何事にも終わりはある。
遠い道のりにも、人生にも、時間にも。
今日、四年間、読み続けてきた本の最終巻を読み終えた。
その本を読み終えたとき、僕の中で本当に学生気分が終わったような気がした。
一年生の頃に刊行されて、ゆっくりしたペースで13巻までの物語を綴った。
それと同じように、僕も学生を卒業し、今は社会人になった。
4年の歳月は長く、短い。
物語がひとつ終わるには十分な時間で、僕の人生にも区切りが付いた。
ただ、それだけのこと。
すこし、寂しい。すこし、嬉しい。何かを欠落したような、そんな話。

人生は欠落だ。
何かを失う代償に何かを得る。等価交換。
大概の場合、それは可能性。
選択を迫られる。YESかNOか。有か無か。快か不快か。
二進法のように、たくさんの選択を迫られ、選ばれなかった可能性は、失われる。
選んでるようで、選ばされてることもあるだろう。
選ぶたびに、人生はつまらなくなっていくような気がする。
こんな人生がずっと続くのかと思うとぞっとする。
なんだか、そんな人生に少し疲れた。

ようは僕は寂しいのだ。
神無さんも居ない。彼女も遠く。好きだった本も終わり。自由な時間も少ない。
友人との交流も限りなく狭くなったし。忙しそうに争っている。
喪失感とか、穴が開いたような感覚。
クライマックスの痕、空虚な終わり。そんな感じ。