開く本、閉じる世界

閉塞感を感じて、ふと近くの神社へ向かう。
浮世場慣れした神の住まう社は、周囲の喧騒を忘れて佇む。
向かう先は境内、僅かな木漏れ日と晴天と。
止まる時間の中で、本を開く。
草の匂いと、蟲の鳴き声が止む。
昔みた世界の情景と、まだ見ぬ何かを綴る物語。
理解と無理解の狭間に揺れて、ただ字に眼を走らせる。
留守にした故郷、古びた館、昔馴染みの友人と、見知らぬ人、
遠く昔見たよくある話の繰り返し、
暫く本に魅入り、ふと顔を上げると世界が広がった。
ただぼんやりと見やりながら、本を片手に歩き出す。
すぐ脇の道を歩くとそこはもう現実。
つまらないなぁと呟きながら、本を閉じた。
ためらいがちに振り返ると、世界が時間と共に動き出す。
少しだけ名残惜しい。・・・尻取りで日記を書いてみたり。