ゴミはゴミ箱へ

「すみません」とあるガソリンスタンドで男性に声をかけた。
「すみません、ゴミを捨てたいのですがゴミ箱はどちらでしょうか?」
彼は一瞬、逡巡してから右手を差し出してきた。「預かりますよ」
「ありがとう。助かります。」ふと彼は顔を伏せて呟いた。
「・・・僕はゴミ箱か。」と。なにか嫌なことでもあったのですか?
「とんでもありません。本当にありがとう」といって店を後にした。
自分をゴミと思うよりも遥に幸せです。
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特別な自分というのを意識したことがあるだろうか?
満たされた生活。こんなに満たされている自分はきっと特別。
でも、周りを見渡してみれば同じように皆が満たされていて、
特別な自分との違いがあまりない。特別ではない自分。
それを受け止められなくて、楽しい事は一杯あって、忘れさせてくれる。
そうやって遊び呆けている人たちを僕は知っている。
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ゴミはゴミ箱へ。ではゴミ箱がなかったら?ゴミが箱から溢れていたら?
「だからオジサン。たとえあなたがゴミ箱であろうと、それはとても意味のある、
大切なことだと僕は思う。」と月に嘯いてみた。