性と死

無性生殖をする生物の遺伝子は環状で、有性生殖をする動物の遺伝子は棒状で、
分裂するたびに有性生殖をする生物の遺伝子は短くなって、やがて消える。
無性生殖をする生物の遺伝子は短くならずに、そのままの形を保つ。
子供を生むために僕達は永遠の命を捨てた。性を得て、死を受け入れる。
アダムとイヴのように。智慧の実を齧った彼らは、性を知り、子供を生み、
永遠の命を約束された楽園を追放されて、限りある命を得た。
生物は、生きているもののために死を選ぶ。
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いちゃいちゃするのが好き。
多分、ずっと愛したいし、愛されたいと願っていたから。
快楽を遠ざけてきたのは快楽に弱いから。
それは気持ちいいからキスをしたいとかそういうことと同じ。
でも、そこに気持ちはあるのかな?ずっと疑問だった。
「市来くんは、いちゃいちゃしたいだけなんだよ」といわれた。
僕は彼女が本当に好きなのだろうか?
「ヒロは愛に対する執着が強いからね、少し嫌だったときもあるよ」
快楽に溺れていただけなのかな?
「僕は君のことが好きだったのかな?」
本当に好きで好きで好きで、でも、また分からなくなってしまった。
好きだからいちゃいちゃしたいのかな?
性がなければもっと簡単なのにね。
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二月の末に会う約束をした。叶うかわからないけど。
変わったものと変わらないもの。僕達の立ち位置はどのくらいずれてるだろう。
友達だった期間が短いから、どういう距離感を保てばいいのだろう?
昔みたいに手をずっとつないで歩くのか、それとも離れて歩くのか。
そのとき、きっとわかる。