殺意

殺す理由がないように、殺さない理由もないことに気付いた。
こんなことを書くと、チェックを入れられそうだけど、殺人事件は後を絶たない。
例えば、学生時代に中学生が殺人を犯したことに大人たちは騒いでいたけど、
僕達は中学生が殺意を抱いていたことになんら疑問なく、当然と受け止めていた。
何故ならば、僕達もまた、誰かに殺意を抱いたことがあったからだ。
彼らと、僕達の違いはほんの些細なこと。そんなに遠くはない。
よく逮捕後に「彼らは普通の・・・」と言われて、「なぜ、普通の彼らが・・・」と
解説者は言うけれど、殺意を抱くのは普通ではないのか?と疑問に思う。
人は殺すし、殺される。ただそれだけのことではないのかなぁ?
ただ、誰かを殺したいと思う願望と引き換えにいまの生活が失われるのなら、
それはあまりにも大きな代償で、だからこそ僕は人を殺さないだけの話。
過去はどうしたって陰のようについてきて、消えてはしまわない。
過去がなくなるというなら、同時に未来をもなくしたときのことだろうと思う。
殺したところで少し気が晴れるだけで、大きな見返りがあるとも思えない。
だから僕は殺さない。殺したいと思う人もいない。
敵を求めたがるのは人の性だけど、僕にはそれすらなく。