月が笑う

僕は寂しいのかもしれない。今日、ふとそう思った。
いつもの言葉遊びではなく、寂しさという言葉を改めて実感する。
悲しさと寂しさはどのくらい違うのだろう?
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今日は雲で月が見えない。明日は雨だという。ふと昔のことを思い出す。
「月は欠けてしまったのではなく、隠れているだけなの」
そういいながら彼女は笑った。
「眼に見えないだけで、月はちゃんとあそこに居るのよ」
頭を撫でられた一番古い記憶の中でそういう。
「だから君の心に悲しみで陰が指したとしても、君はちゃんとここに居る。
君の情熱を誰かが笑い飛ばしたとしても、それを恥じることはないのよ。」
・・・昨日の深夜、友人とチャットをして「心の歪み」について話した。
だからきっと彼女の言葉を思い出したのだと思う。
あれからもう随分と経つけど、お元気ですか?
もう名前すら思い出せないあなたの言葉は今も僕の心に息衝いています。
あなたから教わったたくさんのことを活かすことができないけど、
それでも時々、思い出しては救われます。
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「教え方って言うのがあるんじゃねぇのかよ!?」
・・・本当に久しぶりに正面切って怒りをぶつけられたように思う。
若いなぁと場違いながらもそう思った。
僕には思いやりが足りない。そうやって誰かを傷つけてきた。
まただ。そう思って、この罪悪感を話せる相手がもう傍に居ないことに気付いて、
酷く寂しくなってしまった。
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「いいか、この社会は不条理なものに満ち溢れてる。
本当に正しいと思っていることをしたいなら自分で考えて行動しやがれ」
そう吐き捨てた彼はどうしてるだろう?
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会いたいのに会えない。
話したいのに話せない。
たくさんの想いが心に蓄積して、随分と重くなってしまったものだね。
でも寂しさは僕の心に風穴を開ける。不思議、心は重いのに空っぽ。
なんなのだろうね?
雲から覗いた三日月は、世界一有名な猫の口のように笑っているように見えた。
「・・・そうやって笑っていればいい。」
それが嘲笑であろうと、微笑であろうと、本質は同じ。