乗り越えられないもの

今日、帰り道を歩いていたら猫が死んでいた。
少し悲しくなった。
人は様々なことを乗り越える。
時には時間の協力もあって、忘れることもある。
でも、どうしても乗り越えられないことがある。
生けるものはやがて死ぬ。この変化は遅らせることはできるが、
逃げることも乗り越えることもどうすることもできない。
死とともに歩む。死はそこにある。
例えばここから一歩前へ出れば、叩き落とされる。
例えばこのホースを抜けば、ガスが肺を満たす。
例えばここから動かなければ、生命力を失う。
死は怖くない。いつもそこにいるから。
怖いのは無。自己の存在の消滅。誰も僕を思い出さなくなる。
この世界の欠片であること。望む世界の欠片と触れ合うこと。
いつか、この猫のこと、忘れてしまうのかな?